ビアストーリー講座
ホップ選びに妥協なし!試行錯誤の末に辿り着いた柑橘の香り際立つ、飲み飽きないIPA(アイピーエー)「ホッピンIPA」のこだわりをご紹介

ホップ選びに妥協なし!試行錯誤の末に辿り着いた柑橘の香り際立つ、飲み飽きないIPA(アイピーエー)「ホッピンIPA」のこだわりをご紹介

HOPPIN' GARAGEから満を持して登場した「ホッピンIPA」は、柑橘の香り際立つHOPPIN’ GARAGE流の王道といえるIPAです。

デビューして間もないですが、全国各地のクラフトビールを審査する国内最大級の品評会ジャパン・グレートビア・アワーズ2024のアメリカンスタイル・ペールエール部門で、なんと、いきなりの銀賞を受賞しました。

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ホッピンIPAの美味しさの秘訣は選定したシトラカシミアフラノクイーンの3つのホップです! 今回は開発担当ブリュワーに取材して、そのこだわりポイントを解説しようと思います。

そもそもホップとは?ビールの美味しさとの関係について知りたい方はまず、以下の記事をまずはご覧ください。

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ホップってなに?
ビールの美味しい苦味のヒミツとは?!

ホップについて知りたい方におすすめ

ホップって何? ビールの美味しい苦味のヒミツとは? ビールの原材料に含まれているホップ。「ビール特有の苦味のもとになるもの」ということは理解していても、それ以上のことはあまり深く考えたことがないのではないでしょうか? 今回は、そもそもホップとはどのような植物なのか、ビールの歴史におけるホップの役割と使われ方、現在よく利用されている主なホップの種類とその特徴などについてお話していきたいと思います。

クラフトビール界の大人気品種「シトラ」

ホップの香りの多様化はニュージーランドで2000年に白ワインのような香り」のするホップ、ネルソンソーヴィンが品種化されたことから始まりました。後を追うように、オーストラリアでは「パッションフルーツのような香り」ギャラクシーが、アメリカではシトラが代表品種として次々に品種化されて、現在に至るまで、今でも新しい品種が生み出され続けています。

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シトラが開発コード名「HBC394」として使われ始めたのは2007年のこと。その強烈にシトラスな香りから、2008年に「シトラ」と命名されるや、世界中でクラフトビールに好評をもって受け入れられ、2020年代の現在では、アメリカで栽培されるホップ栽培面積でトップをキープしている、クラフトビール界の大人気の品種です。

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「シトラ」と命名された2008年には、オレゴン州ポートランドで開催された世界ビール学会(World Brewing Congress)でも品種の特徴についてのポスター発表があり、その香りはライムライチパッションフルーツグースベリーなど、さまざまなフルーツにたとえられていました。

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ホップの香り研究でも、さまざまな香り成分がその香りを生み出していることがわかっていますが、そういった香り研究について、詳しくは今後別のコラムで紹介していく予定です。

「クライオホップ」について

ビールに使うホップの球果の見た目は鮮やかな緑色の松ぼっくりのような形をしていますが、割ってみると中心部に黄色い粒がたくさんあります。

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その粒をルプリンといって、ホップの苦味や香りのもとになる成分がここに集まっています。そのルプリンの部分を集めたものがクライオホップです。クラフトビールのブームが生み出した新しい形のホップといえます。 シトラクライオホップは、上で説明した柑橘の特徴の強い「シトラ」の香りのもとをぎゅっと濃縮した原料です。

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ホップの雌花の断面
黄色い粒々したのがルプリン

「カシミア」ホップについて

ワシントン州立大学が開発したカシミアホップは「カスケード」と「ノーザンブルワー」の掛け合わせから生まれたもので、2013年に品種としてリリースされました。 このホップは、「レモン」「ライム」などの「柑橘系の香り」のほか、メロンのような甘いフルーツのニュアンスも併せ持っています。このホップをブレンドすることで、フルーツの香りのニュアンスに複雑さを与えることができます。

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期待の新星「フラノクイーン」

フラノクイーンはサッポロビールが開発し、2021年に品種登録された日本生まれのホップです。個性的な香りのホップを育種しようという取り組みの中から、白ワインのような香り」が強いことから選抜されたものです。

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この香りのもとになっているのは、サッポロビールとボルドー大学の故・富永敬俊博士との共同研究によって、白ワインのような香りのするホップネルソンソーヴィンから世界で初めて発見された香り物質です。
白ワインのソーヴィニオンブランの香りはグレープフルーツに例えられることが多いですが、それとそっくりの香りのする新しい香り成分です。フラノクイーンはその成分からくるフレッシュな柑橘の香りが特徴です。その研究から、香り成分に着目した育種が可能になったことで生まれてきた品種の一つです。

フラノクイーンをビールに使用するのはホッピンIPAが初めてで、まさにHOPPIN' GARAGEならではのこだわりのポイントです。「シトラ」「カシミア」とまた違った香りのアクセントを加えることができます。

担当ブルワーがこだわった/苦労したポイントは?

ホッピンIPAを開発したのは、ベルリンでブリューマスターコースを修めたドイツ帰りの若手ブルワー、小泉 智洋(こいずみともひろ)です。もともと本人もクラフトビールを飲み歩くビールマニアです。

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左:担当ブルワー 蛸井 右:担当ブルワー 小泉

そんな小泉さんに「ホッピンIPA」の開発秘話を聞いてみましょう!

——クラフトビールの代名詞といえるIPAを新たに開発するということで、たいへんなプレッシャーもあったと思います。

「非常にプレッシャーでした!中々、思った香りにならず、試行錯誤の連続でした…世界中のホップの組み合わせを考えては、試験醸造…それを何度も繰り返しました…」

——それは凄く大変でしたね。どんなIPAを目指して開発を始めたんですか?

「つくってみたいのは、英国産ホップらしいハーブや花の香りのする伝統的なイングリッシュIPAより、アメリカ産ホップのシトラストロピカルといった特徴が全面にでたアメリカンIPAをつくりたいと考え、開発をスタートしました。」

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——ホッピンIPAには、「シトラ」、「カシミア」、「フラノクイーン」が使わていますが、ホップはどうやって選んだんですか?

「アメリカンIPAを目指していたので、まずはアメリカンIPAで最も人気のホップシトラを選びました!」

——なるほど!今回選んだ「シトラ」にもすごいこだわりがあると聞いています!

「普通のホップペレットではなく、しっかりと柑橘の香りを付与したかったので、最近開発されたシトラクライオホップを選定しました!」

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参考元: Yakima Chief Hops Inc.
参考サイト:クライオホップについて

——なるほど!だから、ホッピンIPAはこんなに柑橘の香りがしっかりするんですね!「カシミア」と「フラノクイーン」を選んだ理由も教えてください。

「より柑橘の香りを豊かにしたかったので、開発の少し前に試験醸造で香味を確認していたホップ品種の中から「カシミア」も隠し味的に使ってみよう思い試験醸造したのですが、まだ、もの足りない…そこで思いついたのが、品種登録されたばかりのフラノクイーンです!シトラクライオホップカシミアフラノクイーンを組み合わせたことで目的の香りをつくることができました!」

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——3つのホップを組み合わせたから生まれた柑橘香なんですね!香り以外にこだわったところはありますか?

味わいの面にもこだわりました。IPAの名に恥じないしっかりとした苦味はありながら、それでいて飲み飽きることなく1缶を最後まで味わうことができるように、ベースの味わい苦味ホップの香味バランスを追及しました。」

——確かにIPAって飲み疲れすることがありますが、ホッピンIPAは凄く飲みやすいです!IPA初心者にもおススメですね!

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「ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです!試行錯誤した甲斐がありました!」

編集後記

IPAらしいホップ・フォワードな味わいの中に、シトラらしい柑橘感トロピカル感、それに、フラノクイーンの特徴である白ワインのような、グレープフルーツも連想させる香りまで、移り変わるように感じられる複雑さのあるHOPPIN' GARAGEのフラッグシップの片翼、ホッピンIPA、ぜひ一度、お試ししてみませんか?

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ホッピンIPA

しっかりとした苦みと柑橘の際立つ香りIPA

HOPPIN' GARAGEからIPAがついに登場!! アメリカ産ホップと日本産ホップ(※)が出会った、柑橘の香り際立つHOPPIN’ GARAGE流の王道IPA。 香気成分を凝縮した鮮烈なシトラスの香りをもつ「シトラクライオホップ(※)」と、甘さと爽やかさを併せ持つフルーティーな香りの「カシミアホップ(※)」。ここに令和に新しく誕生した日本産ホップ、柑橘のフレッシュな香りが特徴の「フラノクイーン(※)」を加えました。HOPPIN' GARAGEとして最大のホップ量を使いながら、絶妙なバランスを追求した、しっかりとしたホップの香りと苦みが特徴のIPAです。 ※それぞれ一部使用

執筆者

サッポロビール株式会社
蛸井 潔(Kiyoshi TAKOI)

<略歴>

1989年東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻課程修了。
同年サッポロビール株式会社入社。
35年の社歴の中で研究部門と商品開発部門のキャリアはほぼ半々。
研究ではビールの泡の研究、大麦・ホップの原料評価、ホップの香りの研究などに取り組み、2011年に東北大学で博士(農学)を取得。
商品開発ではホワイトベルグ、ホッピンラガー、映画の余韻など多数の商品を開発。
2023年より価値創造フロンティア研究所シニアフェロー

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