ビアストーリー講座 森永製菓とサッポロビールが仕掛ける新しいビール(※)の可能性 小枝を使った“飲みやすい黒”「MILD BLACK with小枝」が誕生!※本製品の品目は発泡酒です。

2025.01.16
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今回発売される「MILD BLACK with小枝」は、森永製菓株式会社のロングセラーチョコレート菓子「小枝」とサッポロビール株式会社がタッグを組んで誕生した商品です。
1971年 の発売以来、多くの人に愛され続けている「小枝」の製造過程で生じる副産物を原料とした本品。缶を開けると小枝の香りがふわりと感じられ、一口飲むとビールの苦味の中に小枝らしいマイルドさが味わえます。「あっ、小枝だ!」と思わずにはいられない、新しいビール体験ができるように仕上がりました。
今回、森永製菓株式会社のマーケティング部門に所属し、「小枝」を担当する笛木真優さんを迎え、サッポロビール株式会社「MILD BLACK with小枝」ブランド担当の小川真広、開発担当の新井健司、醸造担当 の谷川知沙(※)と「MILD BLACK with小枝」が生まれた背景や、本品に込めた思い、工夫したこと、オススメの飲み方を聞きました。
(※)谷川はドイツに留学中のため、本取材にはオンライン参加
小枝のまだ見ぬ魅力を引き出す⁉ 「MILD BLACK with小枝」が誕生するまで
——お菓子の「小枝」がビールになったと聞くと、驚くと同時に「どんな味なのだろう」と期待する方も多いと思います。まずは「MILD BLACK with小枝」が生まれた背景について教えてください。
新井:森永製菓さんとサッポロビールが所属している、食品メーカーを中心とする食のコミュニティ「FOOD UP ISLAND」(以降、FUI)での活動がきっかけです。
メーカーには商品を製造するときに生まれる副産物の使い道が課題となっているケースがあります。FUIでは複数のメーカー同士が協力し合い、新しいことへチャレンジする機会がありました。そこで、2023年1月にサステナビリティをテーマに森永製菓さんとコラボしてイベントに参加することになったんです。
——イベントに参加したお客さまの反応はいかがでしたか?
新井 :サステナビリティへの取り組みといったこと以上に、お客さま からは、業界の違う2社がタッグを組んで新しいチャレンジをすることに対して、ポジティブな反応をいただきました。サステナビリティの認知度は高まっていますが、それだけでは購買意欲を高めることにはつながりにくい。しかし、イベントを通して、業界も異なる2社が共通の目的のもと一緒になって取り組んで、既存のモノから新しいものを生み出す取り組みは、多くの方の期待や楽しさにつながるのだと実感しました。そこで、「商品化を本格的に目指しましょう」と森永製菓さんに相談させていただき、同社の中でもサステナビリティと関わりが深い「小枝」を使って商品をつくることになりました。
——「小枝」は過去にも他社とお菓子のコラボレーションを実施していますね。笛木さんはサッポロビールからコラボレーションの提案があったとき、どのように受け止めましたか?
笛木さん:ビールになったときに小枝らしさをどう感じていただくのか、小枝らしさをどこに残すのかについて、社内でよく議論しましたね。チョコレート感やナッツ、パフなどはまさに小枝を象徴するもの。これらの要素を生かしてどのように仕上げるのか……また、小枝ファンの方々に納得していただけるような“小枝らしさ”があり、黒ビールファンの皆さまにも満足していただけるものをつくるには——。期待と同時にビールづくりの難しさを感じていましたね。
一方で、ビールとは今までコラボしたことがなかったので、小枝のまだ見ぬ新しい魅力を引き出せるのではないか? と思い、ワクワクしたのを鮮明に覚えていますね。小枝はサステナビリティとも親和性があります。1971年に発売された小枝は、「高原の小枝を大切に」というスローガンとともに登場しました。発売当初から自然を大切にすることを訴求してきたブランドで、パッケージの紙部分には環境に配慮した「FSC®認証紙」を、個包装フィルムの一部に植物由来の「バイオマスプラスチックフィルム」 を使用しています。今回のコラボは 食品ロス削減につながる取り組みなので、ポジティブな取り組みになると受け止めました。
——コラボレーションが決まったとき、サッポロビールの開発チームはどのような期待をしましたか?
小川:カテゴリーが違うメーカー同士のコラボレーションにワクワクし、可能性を感じました。「小枝は好きで食べているけれど、ビールはあまり飲まない」という方や、ビール好きの方に新しい体験が届けられると思いましたね。
“小枝らしさ”と“黒ビールらしさ”をどう表現するか……「飲みやすい黒」ができるまで
——ここからは「MILD BLACK with小枝」を飲みながらお話を伺います。まずは乾杯しましょう!
一同:乾杯!
——皆さんの感想をお聞かせください!
小川:香りがまさに小枝です! 柔らかく飲みやすさがありつつも、黒ビールのようなコクが楽しめます。
笛木さん:私は開発時に試飲してから久しぶりに飲んだのですが、チョコレートの香りが強く香ってきます。小枝がビールと調和していて、新しいビールが誕生したと思います。
新井:これまでとは違った黒ビールテイストを楽しめますね。おいしい!
——「MILD BLACK with小枝」は「チョコレートミルクスタウトテイスト」に仕上がっています。この味わいを読者へ具体的に伝えるとすると?
新井:「飲みやすい黒」とお伝えすると想像しやすいかもしれません。たとえば黒ビールは「苦そう」「味が濃そう」といったイメージを持っている方もいます。本品は小枝のミルキーさが加わった黒ビールテイストなのですごく飲みやすいと思いますよ。
——「飲みやすい黒」を実現するために、開発ではどのような難しさがありましたか?
谷川:お菓子の状態まで加工されたものをビールの醸造に使うのが初めてだったため、最初はどれくらいの量をどのタイミングで入れていけばいいのかが分かりませんでした。小枝の特徴であるチョコレート感やミルクのコク、ナッツやパフの香ばしさなどをどう表現していくのか。黒ビールテイストとしても成立させるために、原料を使用するタイミングや配合量を小さなスケールで何度も調整し、試飲を繰り返して形にしていきましたね。
新井:何パターン も試しましたよね。実は完成品と比べてより“小枝っぽい”ビールも試作段階では生まれていました。「これはちょっと小枝っぽいな」というものや、「これだともうビールではなく完全に小枝だ!」なんて試作品もあったんです(笑)。黒ビールのような味わいを出すためにいい塩梅に調整して、完成へと歩みを進めていきました。
——「完全に小枝」だったという試作品もあったんですね! 笛木さんは試飲したとき、最初に懸念していた“小枝らしさ”を感じることができましたか?
笛木さん:はい。何度も試飲し、原料由来の小枝のおいしさを感じられる味わいになるまで調整していただきました。より小枝らしいビールもありましたが、小枝は枝をモチーフにしたお菓子だからこそ、“小枝感”が強すぎないほうがブランドイメージにも合っていると感じ、原料由来のテイスト を大切にし ましたね。
——出来上がった「MILD BLACK with小枝」は、缶のデザインも注目ポイントです。どんな工夫をしましたか?
小川:背景色のセレクトには悩みましたね。たとえば、この黒っぽい色を真っ黒にすると、なんだか強い印象を与えてしまいます。逆に茶色くしすぎると、チョコレートドリンクのように見えてしまう。黒ビールの雰囲気を保ちながら、小枝の柔らかさが連想できるように絶妙な色味に調整しています。
新井:缶に書いた文字のテクスチャーも小枝をオマージュしています。小枝のつぶつぶ感を商品のロゴフォントにも入れているんです。缶からも小枝を感じていただけるとうれしいです。また、缶正面の裏側には、小枝の箱を開けたときと同じようなデザインで文章を入れています。
試行錯誤を重ねたデザイン。“小枝らしさ”と“黒ビールの雰囲気”を表現
大人の夜のゆっくり時間にぴったり? 「MILD BLACK with小枝」オススメの飲み方
——缶のデザインにまで小枝らしさが詰まっていて、早く手に取りたいと思う方も多いと思います。「MILD BLACK with小枝」を飲むオススメのシチュエーションを教えてください!
小川:「夜の大人時間にぴったりのマイルドな味わいの『小枝の黒』を、ゆったりとお楽しみください。」とコピーにもあるように、夜のゆったりした時間に楽しんでいただきたいです。グビグビ飲むビールというよりも、グラスに注いでリラックスして、落ち着いたシチュエーションをつくりながら飲んでいただくと、素敵な時間が過ごせると思います。
——合わせるのにぴったりなおつまみはありますか?
谷川:まずは小枝と一緒に飲んでみてほしいですね! それからスイーツを合わせてもおいしくいただけます。普段のビール体験とは違った楽しみ方ができると思いますよ。
ビールづくりの奥深さ。「小枝×ビール」がくれたもの
——今回の商品づくりを通して、皆さんのビールに対する考えに変化はありましたか?
笛木:私はこれまであまりビールを飲まないタイプだったんです。しかし、今回の企画をきっかけに、つくり方によってビールの味わいが大きく変化することに、驚きと発見が多くありました。今となってはビールをよく飲むようになり、奥深さを日々感じています。
小川:私は飲み方が変わりました。普段は食事に合わせて1杯目にビールを飲んで、その後ハイボールや酎ハイを飲むことが多かったです。「MILD BLACK with小枝」は、1杯目のビールと同じように飲めて、2杯〜3杯目でも楽しめます。チョコレートがこんなにもビールに合うと知れたことで、晩酌の楽しみ方が広がりました。
谷川:私は既存の枠組みにとらわれずに、自由な発想でチャレンジできると知りました。これからももっと楽しく、ワクワクするビールをお客さまに届けたいです。
新井:今回、新しい黒ビールテイストに仕上げられたからこそ、「まだまだビールの可能性はある!」と気づくことができました。「MILD BLACK with小枝」は今まで体験したことのないような香りや味わいが楽しめます。小枝とビールが出会った本品を多くの方に楽しんでいただきたいです。