楽しみ方講座 ビアテイスティングのすすめ ~よりビールが楽しくなる味わい方~

ビアテイスティングのすすめ ~よりビールが楽しくなる味わい方~

ビアテイスティングのすすめ ~よりビールが楽しくなる味わい方~

昨今はスーパーやコンビニにもクラフトビールが多く並ぶようになり、ビールもまさに多様性の時代。 こんなにたくさんのビールが気軽に手に入る中で、「ビールの味の違いがわからないんだよね」と言いながら過ごすのは、なんだかもったいないような気がしてきます。

「今日は少しだけゆっくり飲もうかな」という日は、是非ともビアテイスティングを楽しんでみませんか? テイスティングというと、ワインのように独特の表現を使って批評をしなきゃいけない・・・と思いがちですが、そんな必要は全くなし目の前のビールの中に色々な香り・味を発見し、自分なりに表現してみるのがビアテイスティングです。

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飯村がYEBISU BREWERY TOKYOに飲みに行った時の写真

また、テイスティング=飲み比べ ではないため、たくさん飲めないという方もご安心下さい。 1種類の銘柄についてゆっくりと向き合うのも立派なテイスティングです。

基本的には自由でOKなのがビアテイスティングですが、突然「はいどうぞ」と言われても困ると思うので・・・。 本記事ではビアテイスティングを楽しむはじめの一歩として、グラスの選び方やビールの味わい方について解説します!

自分の感じたままを信じるのがビアテイスティング

自分の感性を信じることが、ビアテイスティングにおいて最も重要と言っても過言ではありません。 特にクラフトビールだとラベルなどに香味の解説が載ることも多く、これを「正解」と思いがちですが、香味は個々の感じ方であって正解は1つではないのです。

ブリュワーは確かにビールの香味づくりのプロであり、熟練のテイスティング力を持っています。 ただ、あなたがどんなに今後テイスティング力を鍛えて自信を付けたとしても、プロのブリュワーとあなたの感じ方は『必ず』異なるでしょう。(一部分では一致するかもしれませんが、意見が分かれる部分は必ず出てきます) 人にはそれぞれ、「得意な(感じやすい)香味」と、「不得意な香味」があるわけです。

初めてのテイスティングでも、あなたが特定の香味を感じたのであればそれも正解です。 是非、たっぷりの自信を持ってビールと向き合ってみてください!

テイスティングはグラス選びから始まる

まず大前提として、テイスティングの際は必ずグラスに注ぎましょう。缶やボトルのままだと香りを感じにくかったり、炭酸を強く感じるため味わいを感じにくかったりします。

グラスの中でも、テイスティングにはチューリップ型のグラスが向いていると言われています。 形が一度広がってから少しすぼまっていることで、液面から上がった香りが凝縮し、より感じやすくなるためです。

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ただ、様々なグラスを用意して同じビールを飲み分けてみるのも1つの楽しみ方です。 グラスは外観を左右しますし、ビアスタイルによってグラス形状との相性が異なりますので、「どのグラスが最も美味しそうに見えるか、美味しく感じるか」を発見してみるのも面白いかもしれません!

テイスティングのためにビールを注ぐ際は、グラスの半分ほどにしましょう。注ぎすぎると香りを感じる段階でビールの液面がかなり近くなってしまい、香りを捉えづらくなってしまいます。

ビアテイスティングの3ステップ

ステップ1:外観から情報を得る

ビールをグラスに注いだら、すぐに口元へは持って行かずに、まずは明るい場所でよく見てみましょう。

目的は主に2つあります。

(1)特徴・品質を確認する

泡の状態やビールの清澄度から、今から飲むビールの特徴・品質を把握します。 元々泡がほとんど立たない銘柄や、無濾過で濁りのある銘柄も多数存在します。 初めて飲むビールの場合は、ホームページで調べるなどして先に外観の特徴を知っておくと良いです。

本来そうではないのに、泡立ちが悪い場合や濁りが発生している場合は、悪い環境で長期間保管されていた可能性があります。このようなビールは味も劣化していますので、テイスティングするには不向きです。その場合は、別の新鮮なビールに切り替えてテイスティングを始めると良いでしょう。

(2)外観から味を予想する

脳で飲むと表現されることがありますが、外観は味のイメージを左右します。 例えば、黒色系のビールであれば「苦みとコクが強い」、濁った無濾過ビールであれば「フルーティーな味わい」などとイメージするように、見た瞬間に人間の脳は勝手に予想を始めます。

見た目や香りから立てた予想が裏切られることも多いのがビールの面白いところ。 予想通りで納得するのも良し、予想を覆されて驚くのも良しなのがビアテイスティングです。 予想を立てるところからテイスティングは始まっていると思って、是非ゆっくりと鑑賞してみましょう。

ステップ2:香り(アロマ)を感じる

早く飲みたいところですが、もう少しだけ我慢して、今度は香りをテイスティングします。 ビールに鼻を近づけたら、一気に吸い込まず、ビールから上がってくる香気を少しずつすくいあげるように、「クンクン」と嗅ぎましょう。

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ちなみに、ビールに鼻を近づけて感じる香りを「アロマ」、ビールを飲んだ時に感じる味わいや鼻に抜ける香りを「フレーバー」と呼びます。

ビールのアロマで代表的なものを下に列挙しました。 主な感じ方を右に並べて記載していますが、使用している原料によっても異なりますので参考までにしてください。

麦芽香:トーストやクラッカーのような香り

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ホップ香:柑橘や草木のような爽やかな香り

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エステル香(酵母由来):バナナやリンゴのようなフルーティーな香り

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何度か繰り返したら、どんな香りがしたかを書き留めたり、他の人と伝え合ったりすると良いでしょう。 他の人と意見交換をしてからもう一度嗅いでみると、自分だけでは気がつかなかった香りを感じる場合があります。 ただ、他の複数人が「感じる」と言っていても、自分ではどうしても感じられない香りもあります。 このような経験を重ねると、自分が感じやすい香り・感じにくい香りを知っていくことができるのです。

ちなみに…国産希少ホップであるソラチエースのアロマは「ヒノキの香り」と表現されることが多いです。筆者はこの表現が非常にしっくりきており、「檜風呂に浸かった後にSORACHI1984を飲みたいなぁ・・」・なんて夢を密かに持っています。気になる方は是非テイスティングを!

ステップ3:味わい(フレーバー)を感じる

さあ、満を持して実飲!それでもテイスティングでは「グビグビ」とはいきません。

まず一口含んだら、すぐには飲み込まずにそのまま舌を動かしてみましょう。こうすると、普段から飲み慣れたビールであっても、知らなかった様々な味に出会うことができます。 3秒ほど口に含んだら、喉の奥に直接当てるようにコクンと飲み込みます。 鼻に抜ける香りは、飲み込むときに意識するとわかりやすいです。

これも何度か繰り返したら、香りと同様に書き留めてみるのも良いですし、できれば他の人と伝え合ってみましょう。 参考までに、味わう上での観点を紹介します。 ・味の種類(甘味・酸味・苦味など。色々な種類の味が複合的に混じり合うと「複雑味」と表現されることも) ・味が消えていくスピード(甘味があるがすぐ消える、苦味が口の中に残る、全体的に程よく残る など) ・味の厚み、重み(いわゆるボディ)

そうこうしているうちに、ビールの温度が少しずつ上がってきて、立ち上がる香りが少しずつ変化してきます。 ステップ2と3を交互に試してみると、より深くビールのアロマ・フレーバーを探索することができます。

最後に

「お作法」のような書き方でテイスティング方法を説明してきましたが、冒頭でも述べたように、自由でOKなのがビアテイスティングです。嗅ぎ方や味わい方も、人によって実践しやすい方法は微妙に異なりますので、是非自分に合った方法を見つけてみてください。

テイスティングの目的をあえて記載するなら 「今までよりも味や香りにアンテナを張ることで、新しい楽しみ方を発見すること」です。 何度も言いますが、ビールの魅力は自由であること! 決して他人と能力を比べたり、目の前のビールを批評したりするためではなく、 是非とも自分の世界を広げるために、ビアテイスティングを楽しんでみてください!

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サッポロビール株式会社

飯村 瑞季(Iimura Mizuki))

<略歴>

2022年東京農工大学大学院農学府応用生命化学専攻修士課程修了。
同年サッポロビール株式会社入社。
入社後は千葉工場パッケージング部に所属し、充填・包装工程の管理や技術開発に取り組む。
学生時代、「注ぎ分け」の魅力を提供するビアスタンドで勤務した経験から ビールが持つパワーや奥深さを自らの言葉で発信したいと考え、記事執筆の社内副業に従事中。

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