ビールづくり講座
苦くないマンゴービール「太陽がくれた赤いダイア」の醸造レポート
2024.04.06
SHARE:
「こんなビール、できたらいいな。」
皆さんのアイデアからビールをつくるガレージ。HOPPIN' GARAGEです。
今回、「暁ブルワリー」さんとビールが苦手な人も飲める
をコンセプトにしたビールを一緒につくりました!
その名も
「太陽がくれた赤いダイア」
沖縄県宮古島産のマンゴーを副原料に使用した苦味を徹底的に抑えたマンゴーウィートエールです。アルコール度数も3.5%とドリンカブルな1杯です。
ビールは苦い!その概念を覆す苦くないビールです。
こちらの記事では、その製造工程をレポートします。
暁ブルワリー八幡平ファクトリーのご紹介
日本名水百選にも選定されている「金沢清水」が工場敷地近くに湧き出しており、ビールの醸造にはこちらの湧水を使用した天然水醸造をしています。 水温は年間を通じて13℃前後に保たれている軟水で、バナジウムが含まれているという特徴があります。
また、ビールの原材料となる麦芽の全ては、たドイツから輸入した有機JAS認証を取得した有機麦芽を使用しています。ホップも極力有機のものを使用しています。 *有機ビールと名乗るには、有機認証された原材料を全体割合の95%以上使用する必要があります。
太陽がくれた赤いダイアができるまで
では「太陽がくれた赤いダイア」は一体どのようにして醸造されているのか、
気になるその工程を暁ブルワリー八幡平ファクトリー中林さんにお伺いしていきたいと思います。
醸造を担当してくれた中林醸造長
Step 1. 麦芽破砕
今回は2日に分けてビールを仕込みます。1仕込みに使用するモルトは約360kg。 仕込み前日の夕方にモルトの粉砕を行います。 一袋25kgあるモルト袋を機械の投入口まで運ぶ作業はなかなか骨が折れます。
ミリング作業をする醸造スタッフ中久保さん
マンゴーの風味を際立たせるため、ベースモルトには低温で焙煎されたピルスナーモルトを使用し、また、柔らかな口当たりを与えるためにウィートモルトを多めに使用しました。
ピルスナーモルト
ウィートモルト
Step 2. 糖化
粉砕したモルトをお湯と混ぜ合わせて、マッシュタンクで1時間ほど糖化反応を進めます。 アルコール度数が3.5%と低めの設定なので、味わいが水っぽいビールにならないよう、ボディを残すために糖化温度と時間を工夫しました。
麦芽とお湯が混ざり合うマッシュタン内部
Step 3. 麦汁濾過
糖化を終えた後は、麦汁と麦芽カスを分離するために、ロイタータンクへと移送します。 麦芽の穀皮がフィルターの役割を果たすため、ロイタータンク内で麦汁を循環させることで不純物が取り除かれ、麦汁がクリアーになっていきます。 麦汁が十分にクリアーになったタイミングでロイタータンクからケトルへと麦汁を移送していきます。
ロイタータンクで濾過される麦汁
麦汁の濾過を終えた麦芽カスは仕込みの度に大量に生じますが、、地元八幡平の牧場や養鶏場へと飼料として提供し、無駄にならないよう再利用しています。
麦芽カスの回収
Step 4. 煮沸
濾過を終えた麦汁をケトルに移し、90分間しっかりと煮沸していきます。 通常はこのタイミングで苦味付けや風味付けのホップを加えますが、今回は苦味を抑えたビールを作るため、煮沸中にホップは一切加えませんでした。
煮沸される麦汁
Step 5. ワールプール
煮沸が終わった麦汁はワールプールへ。このタイミングでホップを加えることで、ビールに苦味はほとんど付かず、ホップのアロマが強く残ります。 今回はマンゴーを思わせるトロピカルな香り。を付けるために、「モザイク」と「シトラ」を使用しました。 ワールプールを終えた麦汁を20℃ほどまで冷却し、発酵タンクへと移送していきます。 ここまでの工程をもう1日繰り返し、ダブルバッチ仕込みは完了です。
香り付けのペレットホップ
発酵タンクに移送される冷却麦汁
Step 6. 洗浄
仕込み設備はその日のうちにしっかりと洗浄していきます。 釜のサイズが大きいので中に入り込み、汚れを手作業で落としていきます。 今回は煮沸中にホップを入れませんでしたが、汚れがいつもより落ちにくかったらしく、迷惑をかけてしまいました。
仕込み設備内部に入り洗浄
Step 7. 発酵
使用した酵母はFermentis社Safale S-33。 ホップとマンゴーのフルーティーな香りを活かすとともに、発酵度が高くないのでビールにコクを残すことができます。 仕込み翌日には二酸化炭素ガスが発生し、元気に発酵が進んでいることが確認できました。 また、麦汁の糖度とpHを毎日測定し、発酵状態をしっかりと管理していきます。
元気に発酵が進んでいる
日々の発酵管理
Step 8. ドライホッピング/マンゴーピューレ投入
発酵がある程度進んだら、ドライホップによる香り付けとマンゴーピューレの投入を行います。 トロピカルなアロマを付けるために、ここでも「モザイク」と「シトラ」をメインに使用し、熟した果実のニュアンスを「アマリロ」で補いました。
また、マンゴーピューレには宮古島産の国産ピューレを使用しました。 袋を開けると甘美な香りが醸造所内に広がりました。 今回はビール規格の範囲内で作るため、このマンゴーピューレをたっぷりと使えないのは残念です。 *ビール規格内では、認められた副原料(今回はマンゴーピューレ)の使用量をモルト量の5%以内に抑える必要があります。
ドライホップに使用するホップ
宮古島産マンゴーピューレ
Step 9. 移送/熟成
発酵を終えた後はタンクの温度を下げ、酵母やホップカスを取り除き、熟成タンクへとビールを移送します。 ここで炭酸ガスを溶け込ませて10日ほど熟成し、缶に充填され、皆さんの手元へと届きます。 完成したビールは、明るいイエローの液色に強めの濁りを持っています。 アロマには、マンゴーや桃のようなフルーティーさが感じられます。 苦味はほとんどなく、小麦麦芽由来の滑らかな口当たりと、ほのかなマンゴーの甘みを感じることができます。
完成した「太陽がくれた赤いダイア」
編集後記
マンゴー色でへイジーなビールって、見た目からすごく美味しそうですね。
ドライホッピングだけでホップを使用したことで、本当に苦味が少ないです。
飲み終わったあと、口の中にマンゴーの香りと甘味が残る本当に飲みやすい一杯。
低アルコールだから、外飲みやお昼からの晩酌のお供になってくれそうでね。
苦くないビール「太陽がくれた赤いダイア」ぜひ、ご賞味ください!
暁ブルワリー「太陽がくれた赤いダイア」
苦くないマンゴーウィートエール
青い海に囲まれた宮古島のマンゴーは、沖縄の太陽が育てた貴重な果実です。真っ赤な皮の中身は輝くダイヤモンドのようなイエローその貴重なマンゴーを追熟させ、加熱蒸気にかけたピューレにし副原料として使用しました。
このマンゴーウィートエールは、エキゾチックなマンゴーのアロマと柔らかな口当たりの苦味の少ないオーガニックウィートエールです。
苦味とアルコール度数を低くしていますので、ビールが苦手な方にも楽しんでいただけます。
おすすめ記事
-
ビアストーリー講座
YAMAPとの共創ビール第2弾!流域地図から生まれた、自然を味わうビール「山と流域のビール」が誕生するまで
2024.11.07
-
ビアストーリー講座
大分県産かぼすとアルペンザルツ岩塩を使用したやさしい飲み心地のホワイトエール「おつかれ山ビール」のこだわりをご紹介
2024.06.03
-
ビアストーリー講座
ホップ選びに妥協なし!試行錯誤の末に辿り着いた柑橘の香り際立つ、飲み飽きないIPA(アイピーエー)「ホッピンIPA」のこだわりをご紹介
2024.04.22
-
ビアストーリー講座
豊潤なホップ香とスッキリとした飲み口が絶妙な「ホッピンラガー」のこだわりをご紹介
2024.04.21