ビアストーリー講座
苦くないマンゴービール「太陽がくれた赤いダイア」が誕生するまで
2024.04.09
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「こんなビール、できたらいいな。」
皆さんのアイデアからビールをつくるガレージ。HOPPIN' GARAGEです。
今回、「暁ブルワリー」さんとビールが苦手な人も飲める
をコンセプトにしたビールを一緒につくりました!
その名も
「太陽がくれた赤いダイア」
沖縄県宮古島産のマンゴーを副原料に使用した苦味を徹底的に抑えたマンゴーウィートエールです。アルコール度数も3.5%とドリンカブルな1杯です。
ビールは苦い!その概念を覆す苦くないビールです。
製造量は7,200本の限定品!
こちらの記事では、「太陽がくれた赤いダイア」が誕生するまでのストーリーをご紹介します。
暁ブルワリーさんのご紹介
ビールを製造してくれた暁ブルワリーさんは、ドラゴンアイが有名な岩手県八幡平に醸造所を構え、日本名水百選の一つ「金沢清水」と、地熱発電によるクリーンエネルギーでビールを作っている、日本初のオーガニック専門のブルワリーです。
ビジョンは「人に 自然に やさしく」。ビールのコンセプトは「地域由来、日本由来」。日本の風土や食文化に根ざした日本のビールを目指しています。
暁ブルワリー八幡平ファクトリー
企画秘話
どんなビールを暁ブルワリーさんにお願いしよう?
悩んだ結果、
「HOPPIN' GARAGEがつくりたいビール」
に決めました!
理由は、初心を忘れないため。
誰かの想いをビールにしたい。
その初心を忘れないため、我々がつくりたいビールをつくってもらうことにしました。
HOPPIN' GARAGEがつくりたいビール
我々がつくりたいビール。
お客さまが驚き、喜んでくれるビール。
2022年に実施した好きなビアスタイルのアンケートの結果を参考に企画しました。
好きなビアスタイルは何ですか?
回答結果は以下の通りでした。
- 第1位 IPA
- 第2位 ペールエール
- 第3位 ピルスナー
- 第4位 ヴァイツェン
- 第5位 フルーツビール
アンケートの結果を受けて、1~3位までは商品化しています。
今回はまだ商品化できていないフルーツビールかヴァイツェンにしようと決め、
HOPPIN' GARAGEメンバーで企画会議をスタートしました。
いずれものビアスタイルも苦味が弱く飲みやすいビール。 できるだけ苦味を抑えた、ビールが苦手な人でも飲みやすいビールをコンセプトに、フルーツビールをつくってもらうことに決めました!
なぜマンゴーウィートエールになったのか?
ビールが苦手な人でも飲めるようにビールの苦味や香りをマスキングしてくれるフルーツを選らぶことにしました。
アップル、グレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ、マンゴー、ミカン、オレンジ、ピーチ、キウイ、バナナ…
色んなフルールジュースとフルーツビールを実際に飲んでみました。
- アップルとパイナップルはビールの苦味を強くする…
- ピーチは香料を入れないと香りが弱い…
最もビールの苦味と香りをマスキングしてくれるフルーツは…
「マンゴー」でした!
- 1)マンゴーを使ったフルールビール
- 2)苦味を徹底的に抑えた味わい
- 3)アルコール度数を3.5%に抑えたドリンカブルな飲み口
のフルーツビールをお願いしました!
開発秘話
醸造を担当してくれたのは、中林醸造長。
東北大学薬学部にてヒストン(染色体を構成する主要なタンパク質)に関する研究に従事。日本学術振興会特別研究員を経て、東北医科薬科大学の教員となり、10年近く研究に没頭してきました研究者です。
中林醸造長
偶然、百貨店で買ったBREWDOGのHARDCORE IPAがキッカケでクラフトビール沼にハマり、クラフトビール好きになったとのこと。
教員を続けていく中、自分で作ったものを直接お客様に届けられるようなことをしたいと考え始めた頃、
ビアバーやビールイベントで出会った人とビールを通じて新しい繋がりが作れることを体験。
2021年大学教員をやめてブルワーに転身。ビールの魅力に引き込まれた1人。
暁ブルワリーでは醸造作業の他には、日々の発酵管理、製品の充填作業、設備の洗浄とメンテナンス、原材料管理や帳簿作成など、ビールの製造に関わる全ての業務を担当しています。
早速、中林さんに今回のビールづくりのお話を聞いてみましょう!
——中林さん!今回はHOPPIN' GARAGEメンバーのつくりたいビールを作ってくれてありがとうございました。我々からつくりたいビールを聞いた時の感想を教えてください。
「これまでフルーツビールの醸造経験はなかったので、正直、不安でした…」
——そうなんですね!?初めてのフルーツビール!どうやってレシピを考えられたのですか?
「文献などでしっかりと下調べをして、レシピを設計しました!研究者時代は答えのわからない課題に取り組んでいたので、下調べをしっかりすれば何とかなるという感覚でした。」
——研究者時代のベースがあってこそ生まれたビールなんですね!
「はい!研究もビールもリサーチが大切です!今回は使えるフルーツの量は限られていたので、どのタイミングでどう入れれば製品にフルーツの風味が残ってくれるかを必死に考えて醸造しました!」
——最初はマンゴーラガーにしようかと思っていると言われていましたが、ウィートエールに変えた理由を教えてください!
「マンゴーのフルーツ感や甘味、やわらかい口当たりを出すには、ラガーよりもウィートエールが最適と考え、変更しました!」
——今回のビールづくりでどんな所が苦労されましたか?
「原料の配合に苦労しました。」
——詳しく教えてください!
「八幡平ファクトリーでは、製造免許の観点からビールしか製造できないんです。ビールでは副原料の使用は麦芽の重量比5%と決められています。」
「酒税法等の改正のあらまし」(国税庁)より引用
「さらに弊社はオーガニックビールと呼ばれる、有機JAS規格のビールをつくっています。ビール規格と有機JAS規格の両方の基準を満たすために、使用するマンゴーピューレの量をどうするのか?凄く苦労しました…」
——勉強不足ですみません。有機JAS規格ってなんですか?
「有機JAS規格とは、オーガニック認証機関の日本農林規格認証アライアンスが定める規格で、オーガニックと謳うことができるビールはJAS法に基づく格付けをされた有機原材料(有機農産物および有機畜産物)を95%以上使用していることが求められるんです!」
オーガニックの麦芽
——そうなんですね!知らなかったです!2つの規格を守りながら、マンゴー感を出すのは難しかったのでは?
「はい!苦労しました…できるだけマンゴー感を出したかったので、ピューレの使用量が最大になるようにしつつ、ホップは香り成分が濃縮されたクライオホップで使用量を抑えることにより対応しました。」
宮古島産のマンゴーピューレ
——クライオホップそれはどんなホップなんですか?
「クライオホップは、ホップの苦みや香りのもととなる成分であるルプリンのみを抽出し、ペレット状にした濃縮ホップです!通常よりも少ない添加量で目的の香味を設計できます!」
クライオホップ
——そうなんですね!マンゴーの使用量をできるだけ増やすために、クライオホップでホップ使用量を抑えられた。配合の妙ですね!他に工夫された所はありますか?
「ドライホッピングとマンゴーピューレの投入タイミングをずらすことで、 ホップの渋さが残らないよう に工夫をしました。」
ドライホッピングに使用したホップ
——太陽がくれた赤いダイアを飲んでみました。本当に苦味がない!だけど、マンゴーのフレッシュな香りと味わいが余韻として感じらますね!
「何とかフレッシュなマンゴーの香りが感じられる出来上がりになったと思います。」
「太陽がくれた赤いダイア」の醸造レポートは以下にまとめています。
編集後記
「太陽がくれた赤いダイア」はマンゴーとホップの使い方にこだわって生まれた、マンゴーのフレッシュな香りと味わいが感じられるフルーツウィートエールです。苦味をほとんど感じないので、ビールの苦味嫌いな方にもおすすめです!
実際にビールが苦手な方に飲んで貰いましたが、「飲みやすいくて美味しい!」と言って頂けました!
アルコール度数も3.5%と低アルコールだから、外飲みやお昼からの晩酌にもピッタリですね!
沖縄県宮古島産のマンゴーを副原料に使用し苦味を徹底的に抑えたマンゴーウィートエール「太陽がくれた赤いダイア」。
7,200本の数量限定ビール!<皆さんもぜひお試しあれ!