ビアスタイル講座
IPAとは一線を画す、ヘイジーIPAの魅力に迫る!おすすめのへイジーIPAもご紹介!
2024.05.13
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近年のクラフトビール業界で、ますます人気に拍車がかかるIPA(インディアペールエール) ですが、『苦くてガツンとくるんでしょ?」と敬遠している方も多いのではないでしょうか。 アメリカ北東部発祥のヘイジーIPAは、少し違います。 これを機に、是非ジューシーで弾けるような魅力を感じてみてください。
IPA(インディアペールエール)とは
強いホップの苦みと、やや高めのアルコールが特徴の上面発酵ビールです。18世紀末頃、ホップの殺菌効果を見込んで、イギリスからインドへ輸出するビールに大量に使用したのが始まりとされています。
主なIPAの種類
- イギリス発祥:イングリッシュIPAなど
- アメリカ発祥:セッションIPA、ヘイジーIPA、ブリュットIPAなど
- ベルギー発祥:ベルジャンIPAなど
ホッピンIPA
しっかりとした苦みと柑橘の際立つ香りIPA
HOPPIN' GARAGEからIPAがついに登場!! アメリカ産ホップと日本産ホップ(※)が出会った、柑橘の香り際立つHOPPIN’ GARAGE流の王道IPA。 香気成分を凝縮した鮮烈なシトラスの香りをもつ「シトラクライオホップ(※)」と、甘さと爽やかさを併せ持つフルーティーな香りの「カシミアホップ(※)」。ここに令和に新しく誕生した日本産ホップ、柑橘のフレッシュな香りが特徴の「フラノクイーン(※)」を加えました。HOPPIN' GARAGEとして最大のホップ量を使いながら、絶妙なバランスを追求した、しっかりとしたホップの香りと苦みが特徴のIPAです。 ※それぞれ一部使用
余談ですが、下面発酵酵母を使用したIPL(インディア・ペールラガー)というビアスタイルも存在します。こちらもホップ多めで高アルコールですので、酵母による違いを飲み比べても面白そうですね。
IPL(インディア・ペールラガー)のホッピンラガー
ホッピンラガー
豊潤なホップ香とスッキリとした飲み口の新感覚のラガービール
フルーティーでトロピカルなホップの香りと爽快な後味をあわせもつ、HOPPIN' GARAGEが提案する新定番のラガービール。マンゴー・グレープフルーツ・ハーブなど多彩なアロマをもつモザイクホップにコリアンダーシードを掛け合わせて香りを引き出し、豊潤なホップ香とスッキリとした飲み口で、最後まで飲み飽きない味わいに仕立てました。 ホップの可能性を追求してきたサッポロビールブルワーの技術が込められた、新感覚のラガービールです。
へイジ―IPAとは
ヘイジー(hazy)は、英語で「濁った」という意味で、その名の通り、濁りを特徴としたビールです。その濁りと、トロピカル系の強いホップの香りから来る果実感から、ジューシー・アンド(オア)・ヘイジーと表現され、この特徴は他のビアスタイルにも応用されています。
元祖は、アメリカ・バーモント州にあるThe Alchemist Breweryの「Heady Topper」だと言われています。2003年に最初に発売され、2023年には「Heady Topper 20th」が発売されています。比較的新興のビアスタイルですね。
参考サイト:Heady Topper|The Alchemist Brewery
また、たくさんの別称があるのも特徴です。 濁っていることから「ヘイジーIPA」、果実感がみずみずしいことから「ジューシーIPA」、発祥地から「ニューイングランドIPA」、それまでIPAの主流だったウェストコーストIPAと対をなすものとして「イーストコーストIPA」…覚えるのが大変。銘柄の名前には「ヘイジー」「ジューシー」が入っていることが多いためわかりやすいですが、これらが入っていても「IPA」ではない可能性もあるので、注意しましょう。難しい!
へイジーIPAの味わいの特長
苦みが控えめで、フルーツジュースのような感覚で楽しむことができるのが特徴です。 ビール党の中には、苦味の指標としてIBUを参考にビールを選ぶ方も多いと思いますが、『IBUの割に苦みを感じにくい』のがヘイジーIPA。ホップの苦み成分をふんだんに抽出したIPAは基本的に高IBUですが、これはあくまで成分分析上の数値なので、体感とは異なることもあります。
ヘイジーIPAは製法上、IPAの中では比較的IBUも控えめですが、それ以上に、まろやかな口当たりとトロピカルな香りが苦みを緩和する効果は大きいといえます。 「ホップの香りを感じたいけど苦みが強いのは苦手」という方にはおススメしたいビールです。
ヘイジーIPAが濁っている理由
濁りを形成する要因はいくつかありますが、ポイントは多量の麦芽成分とホップ成分。 一般的に、ヘイジーIPAの麦芽には大麦に加え、よりタンパク質含有量の高い小麦やオート麦が使用されます。このタンパク質と、ホップ等に含まれるポリフェノール成分が結合して形成されたコロイドが、上質な濁りを生んでいます。
ピルスナーを始めとした透き通ったビールでも、程度は違えど同じような結合は起こっています。ただ、このようなビールにおいて濁りは天敵のため、熟成段階での沈降とろ過により除去します。 あるスタイルではNGとされる特徴が、あるスタイルでは魅力になる…こんなことがビールの世界ではたくさんあるのも面白さの一つですね。
おすすめのヘイジーIPA
筆者の大好きなブルワリーが、ヘイジーIPAを製造しています。 完全に個人の趣味ですが、ご紹介します!
イチオシブルワリー:熊澤酒造株式会社
神奈川県茅ケ崎市に醸造所を構え、ヘイジーIPAを含む様々なスタイルの「湘南ビール」を製造しています。 レストランや直売所を併設した醸造所の雰囲気は、ジブリ映画のような温かみを持ち合わせており、そこに行けば思わず『あの木の下でビール飲もうか…』と言いたくなります。 ビールだけでなく、日本酒・クラフトジン・ウイスキーも醸造するほか、地域に根付いたプロジェクトを展開したり、湘南で活動するアーティストの雑貨を展示・販売するなど、様々な形で地域の人々に愛されています。
参考サイト:熊澤酒造|熊澤酒造株式会社
ヘイジーIPA(1)湘南ビールHazy IPA
虎のラベルが特徴的なこちらのビール。2022年の干支が虎だったことから、古来から虎は酒に酔うことの象徴とされていたことを連想し、濃厚なビールなのにジューシーでつい飲みすぎることへの戒めを込めて表現されているそう。
参考サイト:湘南ビールへイジ―IPA|熊澤酒造株式会社オンラインストア
熊澤酒造のHPより引用
殻のないフレークドウイート、フレークドオーツを使用するため、麦汁濾過工程は非常に詰まりやすく、神経を研ぎ澄ませながら行っています。 煮沸工程終盤に大量のホップを投入する「ホップバースト」製法を採用し、渋味やエグ味を抑えながらホップのアロマを引き出しました。ドライホップは湘南ビール史上最高レベルのホップを投入して行いました。 その結果、苦味を抑えながらホップのアロマ、フレーバーを最大限引き出すことが出来ました。 圧倒的ジューシーさでファンが止まない「HAZY IPA」をお楽しみください。
ヘイジーIPA(2)季節限定!湘南ビールSticky Fingaz Hazy IPA
この変わった名前は、ホップの香り成分ルプリンが『ベタベタと指につくほど大量に入っている』という意味を込めて付けられました。(ベタベタ=”Sticky”、指=”Fingers(z)”) この名前はロックの世界では有名で、数年前に初めて発売された際には大反響だったそう。
参考サイト:湘南ビールSticky Fingaz Hazy IPA|熊澤酒造株式会社オンラインストア
熊澤酒造のHPより引用
定番のへイジーIPA をベースにしなから、スポットで入手したスぺシャルホップを惜しみなく投入して仕上げました。アロマはピンクグレープフルーツやパッションフルーツを強く感じられます。さらに強化されたジューシーなトロピカルフレーバーをお楽しみください。
是非、湘南へ足を運ぶ際には行ってみてくださいね。
ホッピンIPA
しっかりとした苦みと柑橘の際立つ香りIPA
HOPPIN' GARAGEからIPAがついに登場!! アメリカ産ホップと日本産ホップ(※)が出会った、柑橘の香り際立つHOPPIN’ GARAGE流の王道IPA。 香気成分を凝縮した鮮烈なシトラスの香りをもつ「シトラクライオホップ(※)」と、甘さと爽やかさを併せ持つフルーティーな香りの「カシミアホップ(※)」。ここに令和に新しく誕生した日本産ホップ、柑橘のフレッシュな香りが特徴の「フラノクイーン(※)」を加えました。HOPPIN' GARAGEとして最大のホップ量を使いながら、絶妙なバランスを追求した、しっかりとしたホップの香りと苦みが特徴のIPAです。 ※それぞれ一部使用
最後に
ヘイジーIPAについて熱く語ってきましたが、いかがでしたでしょうか? ビールビギナーにも心からおススメしたいビアスタイルですが、度々記載の通りジュースのようにすいすい飲めちゃいます。(もちろんジュースほど甘いわけではありません。その分飽きもこず何杯も…) 是非、ナッツやドライフルーツ、そしてお水とご一緒に楽しんでください。「虎」にはなりすぎないように…。(笑)
サッポロビール株式会社
飯村 瑞季(Iimura Mizuki))
<略歴>
2022年東京農工大学大学院農学府応用生命化学専攻修士課程修了。
同年サッポロビール株式会社入社。
入社後は千葉工場パッケージング部に所属し、充填・包装工程の管理や技術開発に取り組む。
学生時代、「注ぎ分け」の魅力を提供するビアスタンドで勤務した経験から
ビールが持つパワーや奥深さを自らの言葉で発信したいと考え、記事執筆の社内副業に従事中。
このサイトはアルコール関連のページであり
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