ビアスタイル講座
黒ビールはどのようなビール?魅力やより一層美味しく飲む方法を解説!
2023.09.23
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「黒ビール」というと、何を思い浮かべるでしょうか?色や味の濃さ、苦さ、甘さ、香りの強さ、などなど…黒ビールを飲み慣れていない方には、外観やイメージからやや難易度が高く感じられるかもしれません。
しかし、黒ビールと一言でいってもその種類は千差万別です。とくに最近では、クラフトビール人気の影響で、店頭で見かける黒ビールの種類も一気に増えました。今回は知っているようで知らない、奥深い黒ビールの世界とその魅力、またおすすめの黒ビールをご紹介します。
黒ビールはなぜ黒いのか?
そもそも黒ビールはなぜ黒い色をしているのでしょうか?黒い色の秘密は「麦芽」の製造工程にあります。
ビールは主に「麦芽」「ホップ」「水」「酵母」の4つの原材料から構成されていますが、中でもビールの味やコク、色を決める上でのキーとなるのが麦芽の存在です。この麦芽を数種類ブレンドすることで、ビールの個性が生まれるのです。
麦芽の種類は、大きく分けて「ベースモルト」と「スペシャルモルト」に分類されます。ベースモルトとはビールの基礎となるもので、一般的なビールに使われる麦芽の大部分はこのベースモルトです。ベースモルトは低温で時間をかけながら焙燥され薄い色となり、アルコールの素になります。
一方、スペシャルモルトは高温で焙燥してつくられます。麦芽が高温で焙煎される過程にて糖のカラメル化が起こり、麦芽に風味や濃い色がつくのです。どの程度焙煎するかによって風味や色は変化し、この段階で浅めの焙煎の「カラメルモルト」や焦げるまで焙煎された「チョコレートモルト」「ブラックモルト」といった違いが生まれます。
このローストされたスペシャルモルトがブレンドされる量は、ビールの総量からするとほんの少しなのですが、それでもビール全体が印象的な濃い色になります
黒ビールの気になる特徴や魅力を紹介!
黒ビールをはじめて飲むという方は、その黒っぽい外観から強い苦味を想像しがちですが、いざ飲んでみると深いコクと豊かな風味に驚くことでしょう。
また黒ビールは比較的炭酸が弱い点も特徴です。炭酸で味の印象が弱まってしまうこともないので、まろやかで芳醇な香りを堪能できます。
また、黒ビールの製造方法には上面醸造のエールタイプと、下面醸造のラガータイプがあります。エールタイプの黒ビールはフルーツを思わせる香り高さと、濃厚で深いコクのある味わいが魅力です。時間をかけてゆっくりいただきたい味わいといえます。
一方ラガータイプの黒ビールは、キリッとした飲み口と香ばしさが特徴です。下面醸造で造られるラガータイプの黒ビールは少しずつ発酵が進むため、すっきりとしたキレのある味わいに仕上がります。ラガータイプの黒ビールは、まるでアイスコーヒーのような清涼感でゴクゴクと味わうことができる点も魅力です。
黒ビールにも種類がたくさんある
黒ビールは以下の4つに分類できます。お好みの飲み方や、合わせる料理によってそれぞれ違った魅力が味わえるので、ぜひお気に入りを見つけてみてください。
スタウト
スタウトは、世界的に有名な黒ビールとしておなじみのギネス社の創業者、アーサー・ギネス氏によって造られました。香り高さと独特な苦味、濃厚なコクはクラフトビールの中でも愛好家の多いビアスタイルの一つです。
ベースとなったのは、ロンドン生まれの「ポーター」という黒ビールです。ポーターは2種類のブラウンエールとペールエールをブレンドして造られたもので、当時大人気を博していました。
そのポーターをアイルランドに持ち帰り、さらにアルコール度数を強め、味の改良をしたものがスタウトのはじまりです。スタウトとは英語で「強い」という意味でポーターよりも力強い味わいということでつけられた名前です。
現在ではさまざまな醸造所で、新たな進化系スタウトが開発されています。たとえば、味わいとアルコール度数を高めた「インペリアルスタウト」、牡蠣エキス入りの「オイスタースタウト」、甘みを増した「チョコレートスタウト」や「ペストリースタウト」、乳糖を加えた「ミルクスタウト」、ウイスキーやラム酒の樽で貯蔵した「バレルエイジスタウト」などそのバリエーションは多岐にわたります。
ポーター
ポーターは18世紀初頭、ロンドンで生まれました。ローストされた茶色麦芽を使用して上面発酵で造られ、コーヒーやチョコレートを思わせる香ばしさと、ホップの苦味が特徴です。
ポーターの誕生は、古い酸化したブラウンエールと、新しいブラウンエール、そして淡色のペールエールの3種類をブレンドして造られた「スリースレッド」というビールが元になっています。
このスリースレッドが巷で大人気を博したことから、当時ロンドンのパブのオーナーであったラルフ・ハーウッドが、手間のかかる3種類のブレンドではなく、はじめからこの味に近づけたビールを開発しました。「エンタイア」と名づけられたこのビールは、ロンドン市場の配達人(ポーター)からとくに高い人気を得ていたため、次第に「ポーター」の呼び名が定着するようになりました。
ポーターは黒ビールでありながら、独特の苦味が比較的穏やかで、ローストされた麦芽の深いコクと甘みが感じられるので、黒ビールをはじめて飲む方や、あまり飲みなれていない方にもおすすめです。
デュンケル
デュンケルはドイツ生まれの黒ビールです。名前のデュンケルは、ドイツ語で「暗い」という意味で、その名の通り濃い茶褐色をしています。
上面発酵のスタウトやポーターとは違い、下面発酵で造られるラガータイプなので、コクがありながらもすっきりとした飲み口や後味が特徴です。苦味よりも、チョコレートやトーストのような、モルトの香ばしい香りが引き立っており、ほんのり甘味も感じられます。
コクと香りの高い黒ビールでありながら、ラガービールらしいさわやかな喉ごしも感じられ、とても飲みやすいのも魅力です。
さまざまな料理と相性がよいので、食事と一緒に味わうのに向いています。おすすめのペアリングは、豚肉や鶏肉などのあっさり目のお肉や、野菜料理です。ぜひ試してみてください。
シュバルツ
シュバルツはドイツで古くから造られている、歴史のある黒ビールです。ドイツ語でシュバルツ=「黒」を表す意味の通り、グラスの向こう側が見えないほどの真っ黒い色をしています。
同じ黒ビールの中ではデュンケルと同じく下面発酵のラガータイプですが、デュンケルよりも強いロースト香と抑えめの苦味、またキレのあるシャープな味わいが特徴です。
甘味もすっきりしておりアルコール度数も控えめなので、黒ビールの中では一番軽い飲み心地といえるでしょう。黒ビール独特の甘さが苦手な方にもおすすめです。
シュバルツを代表する銘柄である「ケストリッツァー」は、ドイツ中部に位置するバート・ケストリッツという場所で、なんと1543年から製造されています。このケストリッツァーは、ドイツが誇る文豪ゲーテ(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)や、ドイツ帝国の初代宰相であるビスマルク(オットー・フォン・ビスマルク)も愛したビールとしても知られています。
黒ビールのおすすめを紹介!
根強いファンの多い黒ビールは、さまざまな醸造所からこだわりの商品が展開されています。以下では、とくにおすすめの黒ビールを3種類ご紹介します。
六甲ビール「BLAST!!!」
神戸・六甲ビール醸造所は、現在のクラフトビール人気に先駆けて、20年以上前から神戸で個性豊かな地ビールを作り続けている醸造所です。定番の味からレアな限定品まで、幅広い商品を取り揃え、年代や性別を問わず愛されています。
そんな六甲ビールが手がける「BLAST!!!」は、ヘーゼルナッツとバニラの風味が際立つスタウトスタイルの黒ビールです。使用されているヘーゼルナッツは、醸造所で丹念に炒って香りを十分に引き出してから使われます。
またアルコールが苦手な方にも飲みやすいミルキーな飲み口も特徴で、ナッツとバニラの香りも相まって、リッチな味わいとして知られています。
またベースになるナッティーで甘い香りの中に、控えめな酸味やほんのりとした苦みが複雑に重なり、とくにフィナンシェやバウムクーヘンといった焼き菓子との相性は抜群です。
参考サイト:BLAST!!!(ブラスト)|神戸・六甲ビール醸造所
Stone Brewing「Stone Imperial Stout」
アメリカのカリフォルニアにて1996年からクラフトビール造りをしているStone Brewingは、日本のクラフトビールファンの間でもよく知られた醸造所です。創業当初から味の流行を追わず、自分たちの飲みたいビールを造るという確固たるコンセプトがあり、これまで数々の名品を生み出してきました。
そんなStone Brewingによって手がけられた「Stone Imperial Stout」は2000年に創業者のSteve Wagnerが考案したレシピをそのままに復刻したものです。
アルコール度数の高い漆黒のスタウトは、口に含むとすぐに感じられるダークチョコレートやローストされたコーヒー豆、また黒砂糖のような深いコクが特徴です。
セラーの環境下で適切に温度管理ができればさらに熟成するため、熟成用として買い込むファンもいるほどです。
参考サイト:Stone Imperial Stout|STONE BREWING
ヘリオス酒造「星空のポーター」
沖縄のヘリオス酒造は、地元の原材料にこだわった酒造りで有名な醸造所です。中でも「星空のポーター」はヘリオス酒造を代表するロングセラー商品で、バージョンアップを繰り返しながら、現在もファンを魅了し続けています。
「星空のポーター」は、原材料にピーカンナッツと小麦、ライ麦を使い、その一部をバーボン樽で熟成したのち、元のビールとブレンドして造られているのが特徴です。
ココアやコーヒー、ココナッツの強い香りのほか、リコリスやエステル香も感じられ、その後にバニラやオークの風味が続き、最後に微かなアルコール感とホップのドライな苦味で終わります。
自宅でじっくりと時間をかけて、温度変化を楽しみながら味わいたい黒ビールです。
参考サイト:星空のポーター|ヘリオス酒造株式会社
黒ビールをより一層美味しく飲むポイント
黒ビールの魅力を存分に味わうには温度を意識してみましょう。
とくに上面醸造で造られたスタウトやポーターなどの黒ビールは、10度前後の温度で飲むと風味がよりいっそう増します。スタウトやポーターを飲むときは、冷蔵庫から出してしばらく置いてからグラスに注いで飲むのがおすすめです。
ビールの温度が上昇することでより多くの香りの成分が揮発するようになり、エールビールならではの酵母由来の香りと、黒ビールの持ち味であるローストモルトの香ばしさが一段と引き立ちます。
また温度を味わいの適温にすることでほのかな酸味も感じられるようになり、反対にローストされた苦味は抑えられるので、全体の味がまとまりさらに飲みやすくなるでしょう。
逆にデュンケルやシュバルツなど下面発酵のラガー系黒ビールを楽しむときは、よく冷やして香りとともに爽快な喉越しを楽しむのもおすすめです。
黒ビールのお供に選びたい料理を紹介
黒ビールはローストされた麦芽の高い香りをさらに引き立ててくれる料理とペアリングするのがおすすめです。
たとえば黒ビールの本場であるイギリスやドイツの定番であるフィッシュアンドチップスや、ソーセージ、ジャーマンポテトはもちろん、和食でいうと焼き魚やすき焼きなどとも相性抜群です。
また、黒ビールはスイーツとも組み合わせがよく、ティラミスに使われるエスプレッソや洋酒の風味や、チーズケーキの濃厚な味わいは「黒ビール」と最高にマッチします。
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