婚姻のグレジュビール

商品化に至るまでのストーリーをインタビュー!
インタビュアー:古賀 麻里沙(以下太字)
つくってみた人:遠山 正道

まずはこの「婚姻のグレジュビール」を作りたいと思ったきっかけを教えてください。
実は数カ月お酒をやめていて、また飲み始めたばかりの頃で一晩中飲み続けるというライフスタイルではなく、もう少しキュッと短くお酒を楽しむ気になっていた頃だったんです。ビールを何杯も飲むのではなく、一発で仕留められるビールを作りたかったんです。だから高い度数設定になっています。とにかく大量に長く飲むというよりも、短くいい時間で飲めるビールを作りたかったんです。
こういう味わいにしようと思ったのはどうしてですか?
カクテルのようなビールにしたかったのは、実は数カ月お酒をやめていて、また飲み始めたばかりの頃だったので、ちょっと香りが立ち、そしてカクテルのような高い度数で、胃袋で飲むのではなく、人との関係性の中で飲む感じが良かったからです。


実際に出来上がったものを初めて飲んだ瞬間はどんな感想でした?
想像の1.4倍くらいよかった。まず、白濁した感じで色が良いんです。爽やかなのに、どこから訪れたのかわからない芳醇さみたいなものがあって、ちょっと出会ったことがないです。
ラベルデザインが仕上がった時にどんな気持ちでしたか?
相当実験的なものになっています。缶の上半部は上品で、下半部は機能が詰まっている。 でも、白い缶ってちょっとリスクがあります。飲食店でも白いお店って流行らないと言われます。やっぱりリアルな熱や食欲みたいなものは、白いホワイトキューブのようなお店では立ち上がってこないです。そういう意味で言うと、白い缶だから若干のリスクを孕みつつ、そこをエレガンスで駆け抜けるというデザインです。


そのマークは何を表しているんですか。
誰も知らないです(笑)。グレジュというものがここに秘められています。シトラス家とモルト一族の婚姻なんです。その婚姻制みたいなものをこのマークで表し、ファミリーと一族が出会う時のお互いの大事をここに込めたというものです。
このビールをどんな人に飲んでもらいたいですか?
アランドロンにガーデンみたいなところで、飲んでもらいたいです。最初は、この企画に対して音声でラジオのCMのような形でプレゼンしたんですけれども、アランドロンな気持ちで発しました。
どんな言葉を発したんですか?
70年代の「太陽がいっぱい」のようなアランドロンがエレガンスと野蛮性を持った感じですね。完全にそれが体現できていると思います。


このビールが出来上がって、POP UPで皆さんに飲んでもらったかと思うんですけど、その時に皆さんに初めて飲んでもらう時はどんな気持ちでした?
自信満々(笑)。どうよという感じです。あの時一人一杯しかなかったんですよね。だから、ちびちび飲みました。
このHOPPIN’ GARAGEというプロジェクトに対してどう思いますか?
ユニークなプロジェクトですし、これからの時代は大きな産業よりも小さなプロジェクトの積み重ねになってくると思います。大きな企業さんがこういう小さなプロジェクトを実際に発していくのは、これからの時代にも合っていますし、こういうことから大きな企業が変わっていったらいいなと。みんなで同じビールを飲むという時代ではないですよね。相手もビールも、色々選びたいじゃないですか。


最後に、発売に向けて何かあれば一言お願いします。
いろいろなものが詰まっていますので、お家で家族や友達とこれを見ながら「『婚姻の』って何なのかな?」とか「『グレジュ』って何なのかな?」と語り合ってほしいです。これをみんなが見ながら、普段はなかなか自分では気づかないんですけど、こういうのを飲みながら自分の中にある疑問や、それに対する自分なりの答えをそれぞれの人が紡いでいく。そのきっかけになったらいいですね。

企画者プロフィール
遠山正道さん
1962年東京都生まれ。株式会社スマイルズ代表取締役。
現在、「SoupStockTokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。
■著書:『成功することを決めた』(新潮文庫)・『やりたいことをやるというビジネスモデル―PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)
■ サイト:http://www.smiles.co.jp/

ブリュワーコメント
成瀬 史子
コンセプトは「一発で仕留める」。ビールのような爽快感がありつつ、カクテルのように飲めるビールというのが遠山さんのオーダーでした。
となるとアルコールは高めでかつ女性にも好まれる味わいのビールにする必要があると思いました。
遠山さんからはグレープフルーツを使用したいと具体的なオーダーがあったので、小麦麦芽を一部使用した麦汁にグレープフルーツ果汁を加えて発酵させ、ホップは柑橘の特徴のあるシトラを一部使用しました。
仕上がったビールは、僅かに黄色味を帯び白濁した見た目、フルーティーなホップの香りにグレープフルーツ果汁の苦みと酸味、そしてこれまで感じたことない滑らかな食感。
中世の貴族シトラス家とモルトファミリーの婚姻を表現した詩的なビールの出来上がりです!